虫歯治療のステージと治療法(院長宮澤)
- 投稿日:2020.03.21
- カテゴリー:コラム
こんにちは、院長の宮澤です。
今回は虫歯の分類と、それに付随する治療法をお伝えします。歯科治療において虫歯治療は基本となります。虫歯が深いってどういうことだろう?と、思っている方も多いと思います。今回は虫歯治療を簡単にご紹介させていただきます。
虫歯の段階(ステージ分け)の考え方
虫歯は大きく分けて5つのステージに別れます。
C0 初期のエナメル質窩洞内う蝕
C1 エナメル窩洞内う蝕
C2 象牙質齲蝕
C3 歯髄に達しているう蝕
C4 歯質過少により歯牙保存が不可能と診断された歯
C0 ~ C1について
エナメル窩洞内のう蝕に関しては、口腔内清掃状態が良い場合は経過観察を行うケースも多いです。
多くの場合が虫歯を除去後に歯科材料を充填するため、ある程度の大きさまで歯を削らなければならないので、虫歯の進行スピードや清掃状態を考慮して治療を行うかを考えています。
もし、治療が必要となった場合でも歯がたくさん残っているケースが多く、コンポジットレジン修復で十分に処置可能であることがほとんどです。コンポジットレジン修復の利点は保険適応であることと、即日に治療が終了するため患者様の負担も少ない治療であることです。
コンポジットレジン修復
C1 ~ C2について
C2まで進行すると、甘味痛、咬合痛、冷水痛などの不快症状が確認できることがあります。
しかし、無症状で虫歯が進行する場合もあります。虫歯箇所に水や食べ物が侵入しづらい場合は知らないうちに虫歯が進行することもあるためです。
処置が必要になった場合は、コンポジットレジン修復、または歯冠修復(被せもの)で対応します。歯冠修復は一度型取りを行い、装着と調整を行わなければいけませんが、しっかりとした歯冠形態が復元されるため将来的な虫歯や歯周病のリスクを低減することができます。
セラミック素材のものは口腔内の環境に配慮した装着を行うことで虫歯のリスクを更に低減することが可能です。
【症例】セラミック材料を使った修復処置・セラミック接着時の環境への配慮 もご参照ください
コンポジットレジン修復
セラミック修復
C3について
歯髄まで虫歯が到達してしまっている場合、何かしらの歯髄への処置が必要となります。歯髄の病気の進行は、
1. 可逆性歯髄炎・・・歯髄は炎症反応を示すが適切な処置で正常歯髄に移行できる
2. 不可逆性歯髄炎・・歯髄の炎症反応は正常歯髄まで回復が見込めない
3. 歯髄壊死・・・・・歯髄に血流はなく、ほとんどもしくは全ての歯髄が壊死している状態
の3段階があり、冷水痛、温熱痛、電気診、触診で診査をする必要があります。また、不可逆性歯髄炎から歯髄壊死に移行する時が最も痛みを生じます。
可逆性歯髄炎
可逆性歯髄炎の場合の治療の選択肢は、生活歯髄切断法もしくは根管治療(抜髄)となります。
生活歯髄切断法は一部分の歯髄を除去し、MTAという素材で処置を施します。
この治療の利点は歯髄と歯牙をできるだけ保存できることです。欠点として歯髄を保存するが故、失敗すると歯髄炎が進行します。
一方、根管治療(抜髄)は歯髄を除去しますが、生活歯髄切断法より痛みが出る可能性が低い治療です。
成功率としては2つの術式は共に90%以上あると報告されています。
生活歯髄切断法(歯髄保存療法)
根管治療(抜髄)
歯髄壊死
歯髄壊死は歯髄に血流がなく、ほぼ全ての歯髄が細菌感染により壊死し、根尖性歯周炎という炎症が根尖まで波及してしまっている状態です。この場合、適切な根管治療を行うことが必要となります。根管治療を行っても治癒に至らない症例に関しては歯根端切除術が必要になります。
根管治療
歯根端切除術
虫歯治療はそのステージによって行われる処置も様々です。治療を成功させる鍵となるのがその虫歯がどのステージにあるのかを正確に診断することが大切です。
気になる症状がある方やしばらく歯医者での検診をうけられていない方は、早めの受診をおすすめいたします。
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