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【症例】親知らずを用いた歯牙移植でインプラントを回避
- 投稿日:2021.02.25
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治療概要
治療内容 | 歯牙移植 | 期間 | 3ヶ月 |
---|---|---|---|
治療回数 | 3回 | 費用 | 110,000円(税込)※精密根管治療(大臼歯)は含みません ※処置当時の料金です |
治療前の状態・主訴
数年前より右上に咬合時の痛み(鋭く刺すような痛み)を感じるようになり、数件の歯科医院を受診するも原因の特定には至らず、経過を見るようにと言われていたとのことです。最後に通院した歯科医院にてクラックが発見されましたが、痛みは良くならず当院を受診されました。
治療詳細
初診時には右上7番に歯髄生活反応は確認できず、歯髄壊死が起因の根尖性歯周炎と診断しました。根管治療を開始するも、歯牙は既に破折しており患者様には抜歯することをおすすめさせていただきました。
患者様はインプラントを行うことには抵抗があり、抜歯後のプランに左上の親知らずを右上7番部位に移植することを選択されました。
左上の親知らずを抜歯後、すぐに右上7番部位に移植を施し2週間経過後に精密根管治療を行いました。
治療後の様子
精密根管治療終了後3ヶ月で、術前に確認できた病変の縮小は顕著に確認でき、予後経過は良好と判断します。今後、最終補綴処置に移行し経過観察を行っていきます。
主な副作用・リスク
・歯牙移植術、精密根管治療はすべて自費の治療になります。
・移植歯は根吸収を生じる場合があり、術後の経過によっては抜歯になる可能性があります。
・術中に移植歯の抜歯が困難場合、または歯根破折を生じた場合は手術を中止する場合があります。
・精密根管治療終了後には術後性疼痛が出る場合があります。
・精密根管治療が予後不良の場合は、歯根端切除術(意図的再植術)を行う必要があります。
<歯を失った場合には口腔外科医と歯内療法専門医の連携により最大限バックアップ>
今回は右上7番が歯根破折により、歯の保存が不可能なケースでした。
クラックトゥースシンドローム(歯に微小な亀裂が入ることで、かみ合わせ時に痛みを感じる症状)は、正確な診査を行わないと原因歯の特定は困難なため、一般歯科医院では原因不明と言われ見逃されやすい歯のトラブルです。
クラックトゥースの診断が遅れることで、今回のように垂直性の破折を起こしてしまう可能性が高まります。
本症例では幸運なことに左上の親知らずが健在していたため、口腔外科医と歯内療法専門医との連携により歯牙移植を行うこととしました。
手術後、2週間で移植歯の生着を確認し、通法通りの精密根管治療を施したことで、根尖周囲組織に確認できた病変も3ヶ月後の経過観察では縮小を確認しました。
このような最後方臼歯(一番奥歯)の抜歯を余儀なくされるケースでは、インプラント治療しか選択肢がない、または治療の選択肢が限られてきますが、今回のように親知らずを使った治療をご提案できることで、患者様の選択肢を1つ広げることが可能であると考えます。
もちろん、歯牙移植にもメリット・デメリットはあります。自身の生体(ご自身の歯)を使用することから安全な治療である一方、デメリットとしては、歯牙の生着率(成功率)はインプラントの生着率(オッセオインテグレーション)に比べると若干劣ることから、ご自身の歯の生着が確認できない場合は親知らずを含む2本の歯牙を失うことになります。
また、親知らずに大きい虫歯がある場合や、歯の根の形態によっては移植部位に適さない場合があるので、誰もがいつでも必ず選ぶことができる選択肢ではありません。
しかし、インプラントは生体にとっては異物であることから、将来的なインプラント周囲炎(インプラントの歯周病)などを生じるリスクを考えたときに、安全性としてはご自身の歯を移植する場合は生体に負担が少ないのかもしれません。
歯牙移植を行った場合、移植歯の歯髄組織は血流を失うため、歯牙生着を確認後に精度の高い根管治療と定期的な経過観察を行うことが必要になります。
当院では、歯内療法領域のみならず、インプラント専門医、口腔外科医と連携を図ることで、患者様の歯が保存できない場合でも、最大限のバックアップをご提案させていただく体制を整えております。
下記ページもご参照ください。
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宮澤 仁Miyazawa Jin
専門分野
- ・根管治療
所属
- ・アメリカ歯内療法学会
- ・日本歯内療法学会
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