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【症例】インプラントを守るための歯茎の移植(FGG)
- 投稿日:2023.11.17
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治療概要
治療内容 | 遊離歯肉移植術(FGG) | 期間 | 3ヶ月(移植した歯茎が落ち着くまで) |
---|---|---|---|
治療回数 | 1回(他、抜糸や経過観察を除く) | 費用 | 137,500円(税込) |
治療前の状態・主訴
術前の状態では、硬い付着歯肉と柔らかい可動粘膜の境界がかなりインプラントに近いのがわかると思います(写真はインプラントの最終的な上物が入る前の状態です)。
この状態でインプラントの上物が装着されると、柔らかい可動粘膜が歯磨きの際に動いてしまい、日々のブラッシングでしっかり汚れを落とすことが難しくなります。また、食事の際に粘膜が引っ張られインプラントと歯茎の間に汚れが流入しやすくなるというリスクも考えられます。
このように、付着歯肉が不十分な状態で最終的な上物を装着すると清掃性が確保できず、インプラントが歯周病に罹患するリスクが高くなり、インプラントを健康的に使用できる寿命が短くなってしまう可能性があります。
現状で1mm幅ほどしかない付着歯肉を少なくとも3mm幅ほどに増やすことが理想的です。
治療詳細
歯肉の再生のために、上顎の口蓋にある硬いしっかりした歯肉を移植する手術を行いました。遊離歯肉移植術(FGG:Free gingival graft)と呼ばれる術式です。
インプラント周囲の付着歯肉の不足した部分に口蓋歯肉を移植し、しっかりと適合させます。すると、2週間もするとそこに移植片が生着し、硬い歯茎が形成されます。
治療後の様子
術後3ヶ月後で歯肉の再生が達成され、安定しています。インプラントの上物も装着されていますが、患者様は痛みもなく適切にブラッシングできています。この状態ならば、ご自身のケアと定期的なメンテナンスでインプラントは長持ちするでしょう。
主な副作用・リスク
・手術に伴う合併症として、出血、腫れ、痛みが生じる可能性があります。
・移植した歯肉に適切に血流が回復しなかったり、細菌感染を起こしたりすると生着不全が生じることがあります。
・下歯槽神経麻痺を起こす可能性があります。
・一度で付着歯肉が十分に得られなかった場合には再度手術が必要になる場合があります。
<インプラントを長持ちさせるために大切な付着歯肉>
治療前の歯茎
治療後の歯茎
今回はインプラントの周りの歯茎再生の手術(付着歯肉を増やすための歯茎の移植)を行った症例を紹介しました。
歯の周りには一般的に硬いしっかりした歯茎(付着歯肉や角化歯肉と呼ばれます)が存在しています。この硬い歯茎(付着歯肉)は、外からの刺激に抵抗する部分で、歯を守る役割や歯の清掃性を確保するために必要な組織です。
抜歯すると、骨のボリュームと歯茎のボリュームが下がるため、付着歯肉も同時に失われます。その結果、インプラントを埋入するときに必要な付着歯肉が得られない(3mm以下)状態になってしまうケースは少なくありません。
この症例の患者様のように硬い歯茎が失われていると、インプラントが長持ちしないことが多くの研究で明らかになっています。
インプラントは虫歯になることはありませんが、歯周病になることはあります。せっかく埋入したインプラントを長く使用するために、できるだけ歯周病に罹患させないよう、清掃性を高め、インプラント周囲を清潔に保つことは非常に重要です。
目白マリア歯科では、個々の患者様に対して理想的な口腔内環境を構築し、インプラント治療を行うことを推奨しております。歯茎再生の手術(遊離歯肉移植術)をはじめ専門的な治療にも安全に対応できる環境を整えております。
歯を失ってお困りの方やインプラントを入れた後、歯茎に不安がある方は、まずは当院の歯周病専門医のカウンセリングをお受けいただき、ご相談ください。
歯科医師 小沼寛明
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小沼 寛明Konuma Hiroakiドクター紹介ページはこちら
専門分野
- ・歯周病
- ・歯肉形成
所属
- ・日本歯周病学会
- ・日本臨床歯周病学会
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