【症例】意図的再植術|歯根破折歯を保存したチャレンジケース
- 投稿日:2020.06.27
- カテゴリー:歯根端切除術
治療概要
治療内容 | 抜髄(初回根管治療)・歯根端切除術(意図的再植術)|精密根管治療 | 期間 | 1日 |
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治療回数 | 1回(予後の経過観察等を除く) | 費用 | 55,000円(税込 当院にて精密根管治療後2年内) ※処置当時の料金 |
治療前の状態・主訴
右上の奥歯付近に“できもの”ができたことを主訴に来院された患者様の症例です。当院での診査の結果、右上7番の根尖性歯周炎と診断しました。しかし、一部に限局的に進行している歯周ポケットが確認できたため、歯根破折もしくは歯内歯周病変が疑われました。患者様は診断的な意味合い(歯根破折の確認)も含め、被せものを外して精密根管治療を開始することを希望されました。
精密根管治療の開始後、根管内充填物(感染物)を除去して根管内を確認すると、歯根破折が見られました(中央写真の赤矢印)。歯根破折は根管内に留まっていましたが、歯周ポケットと繋がっていたため、1回目の治療を中止しました。
術中に歯牙を保存できる可能性がいくつか確認できたので、患者様には「①抜歯をする」 「②治療を継続し歯牙の保存にチャレンジする」、の2つの選択肢について説明させていただきました。結果、患者様は②の治療を継続し歯牙の保存にチャレンジすることを希望されました。
治療詳細
歯牙を抜歯後、メチレンブルーにて染色して破折線を確認しました。破折線に沿って感染部位を除去しましたが、根管内部の構造が非常に複雑なため、最終的な形態は、真ん中の写真のようにしました。
治療のコンセプト通り、根管内部を超音波と歯科用タービンを使用して根尖方向から洗浄しました。その後はMTAにて歯内を封鎖し、抜歯窩へ歯牙を戻して手術は終了しました。
治療後の様子
上記のエックス線写真で、術直後に根尖付近に見られた透過像(黒く見える部分)は、3ヶ月後には小さくなり、治癒傾向にあることが確認できます。また、術前に見られた歯周ポケットの改善と瘻孔(フィステル)の消失も確認できます。
次回は、最終補綴物(被せもの)の製作に移ります。
主な副作用・リスク
・精密根管治療、歯内療法外科はすべて自費の治療になります。
・根管治療終了後には術後性疼痛がある場合があります。
・意図的再植術は術中に歯牙破折により手術を中止する場合があります。
根管治療中に確認された歯根破折に対して、意図的再植術を施して歯牙保存にチャレンジ。患者様のご希望や、歯根破折が歯牙上部に確認されなかったことなどから保存が可能に。
今回は根管治療中に確認された歯根破折に対して、意図的再植術を施して歯牙保存を行いました。通常、当院では歯根破折が確認された時点で根管治療を中断して、抜歯をお勧めしています。しかし今回は、患者様の強いご希望があったことと、歯根破折の箇所が歯牙上部に確認されなかったことなど、いくつかの条件を考慮して歯牙の保存にチャレンジしました。
歯質が少ない状態ではありますが、術後3ヶ月経過した時点で違和感の消失、病的な歯周ポケットの改善、瘻孔(フィステル)の消失が確認でき、経過は良好です。最終補綴(被せもの)へ移行後も、最低2年間は年1回ほどの経過観察を予定しています。
今回の症例では、患者様のご希望や条件が整ったことによりチャレンジを行いましたが、このような症例では、場合によっては失敗して抜歯になることも考えられます。
当院が重要視しているのは、ただ歯牙を保存することだけではありません。患者様に、歯牙を保存した場合のリスクを理解していただいた上で、治療を行うかを決断していただいております。治療の費用対効果は個々の患者様で異なるため、術前のカウンセリングにて診査、診断を行い治療のリスク等をご理解いただいております。
カウンセリングでは、現在の歯の根の状態、解決するための治療方法や治療のリスクなどをお伝えします。できるだけ患者様のご希望に沿った治療を心がけておりますので、ご相談いただければと思います。
下記のページもご参照ください。
● 目白マリア歯科|診療メニュー|根管治療・歯内療法
● 目白マリア歯科|精密根管治療 症例一覧
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宮澤 仁Miyazawa Jin院長紹介ページはこちら
専門分野
- ・根管治療
所属
- ・アメリカ歯内療法学会
- ・日本歯内療法学会
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