【症例】複雑な歯根形態「樋状根」(といじょうこん)に対する、精密根管治療のアプローチ(再根管治療)
- 投稿日:2020.11.28
- カテゴリー:再根管治療
治療概要
治療内容 | 再根管治療|精密根管治療 | 期間 | 2週間 |
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治療回数 | 2回(仮歯作製、冠作製期間は除く) | 費用 | 176,000円(税込)支台築造処置代を含む ※処置当時の料金 |
治療前の状態・主訴
前医にて根管治療を終了したが、痛みと違和感に改善がないため来院された患者様です。前医では樋状根(といじょうこん)の為、これ以上の治療はできないと言われ、抜歯を勧められていました。
※樋状根(といじょうこん)とは、神経管が癒合して雨どいのようなU字型になっている根管形態のことです。Cシェイプとも言います。
治療詳細
↑写真2 樋状根(※同症例写真ではない) 赤丸:歯質が薄い部位
根尖性歯周炎は細菌が原因であるため、根管治療にてできる限り細菌を除去することが必要になります。しかしながら、樋状根(Cシェイプ)は根管の大部分が根内部でつながっている形態をしているため(写真2)洗浄が非常に困難です。
なぜならば、我々歯科医師が使用する器具のほとんどが正円形ですが、正円形の根管などはほぼ存在することはなく、大体の根管は楕円形やリボン状(樋状根のような形態)であることから、器具だけでは根管内の洗浄は不十分になってしまいます。その為、超音波器具などを用いて切削や超音波を使った化学的洗浄を十分に行う必要があります。
根管内を洗浄するために根管の入り口付近や根管内の歯質を多く削合すれば、理論上問題は解決しやすくなるかもしれません。しかしながら、歯質を多く削ることは歯の物理的強度の低下に繋がり、結果として歯の寿命を縮めることになります。
また、今回のような樋状根(Cシェイプ)は内側の隆起している部位(写真2赤丸部位)など、歯質が非常に薄い形態をしていることからむやみに削合を行うと穿孔(読み:せんこう パーフォレションともいわれ、歯に穴をあけてしまうことを指す)を起こしてしまう可能性も高くなります。
根管内部の歯質を切削、洗浄する場合は正しい歯の解剖学的形態を理解していることはもちろん、超音波などを用いて直視(マイクロスコープ)下で洗浄を行っていくことが理想的と考えられます。
本症例においても、樋状根に対してマイクロスコープにて直視下にて、切削や超音波を使った化学的洗浄を十分に行いました。
治療後の様子
バイオセラミックにて根管充填を行いました。レントゲン写真からは根尖まで良好に隙間なく根管充填を行っていることが確認できます。
1回目の治療終了後、2週間後には違和感等は感じられないようにまで回復しました。
3ヶ月後に再度経過観察を行い、外科的歯内療法の必要性を判断する予定です。
主な副作用・リスク
・精密根管治療はすべて自費の治療になります。
・根管治療終了後には術後性疼痛がある場合があります。
・術中に予期せぬ歯根破折が確認された場合、処置は中止させていただくことがあります。
・根管治療が予後不良の場合は歯根端切除術を行う必要があります。
<樋状根など複雑な歯根形態にも、コンセプトを守った精密根管治療によって治療の成功率を高めることが可能です>
樋状根(といじょうこん)の頻度は、白人に比べるとアジア人で多く、日本人では3割から6割程度と言われています。樋状根は歯根形態が複雑で、根管治療における根管内の洗浄が難しいといえます。
治療詳細でもご説明しておりますとおり、樋状根において根管内部の歯質を切削、洗浄する場合は正しい歯の解剖学的形態の理解、超音波を直視(マイクロスコープ)下で用いて洗浄を行っていくことが理想的と考えられます。
根尖性歯周炎を治癒に導く為には、
①無菌的な処置
②適切な洗浄
③緊密な封鎖
など、根管治療においてのコンセプト(ルール)に基づいた治療を行っていくことが大切です。
どのステージでも1つ怠ることで治療の成功率を低下させる原因になります。
目白マリア歯科では、精密根管治療の専門日を用いて、コンセプトで守られた歯内療法(根管治療)を患者様にご提供させていただいております。
まずは専門の歯科医師によるご相談、診査・診断を行う「精密根管治療専用のカウンセリング」をご検討ください。
下記のページもご参照ください。
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宮澤 仁Miyazawa Jin院長紹介ページはこちら
専門分野
- ・根管治療
所属
- ・アメリカ歯内療法学会
- ・日本歯内療法学会
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